2014年10月23日木曜日
名古屋大学、山の上、そこにグラウンドがあった、人工芝のグラウンドである。ラグビー部を始め、様々な部活のスパイクによって芝がハゲ、黒チップの地肌がおもむろになっていくその様子を複雑な心境で見つめる男がいた、そう、石原である。彼は齢20にして自己診断により男性型脱毛症、いわゆるAGAと診断された男である。おそらくそのだんだんハゲてゆく人工芝の様子を、自分の頭皮環境と思いを重ねながら見つめていたのであろう。彼が初めて症状に気づいたのは浪人の時である、同じ浪人仲間が、あれ、お前真ん中髪なくね?と、まさか、よせやい、と言いながら触ってみると確かにあるはずのポジションにやつらはいないのである。受験勉強によるストレスなのだろうと耐え忍んでいたが受験が終わり半年以上経過した今となっても症状は改善されるどころか悪化していくばかりである、大学と言えば、周りの連中はいろんな色に染めて髪の毛で遊んでいるが、遊ぶ髪すらない男の心情など汲み取ることはなく、時は無情にも流れていく。最近は親にもコケにされる有様である。てめえらの遺伝子じゃねえかと言いたいところだがこの世に産み落としてくれた恩を考慮するとそんなこと口が裂けても言えない。最近の食卓はほんの気遣いだろうか、心なしか海藻類が多いように思われる。体の9割が男性ホルモンでできているこの男、性欲にはこの上なく執着する猿であるが、無神経な自慰行為は過剰な男性ホルモンや分泌し、AGAの症状を促進しかねず、まみつとは対称的に望まぬ禁欲に落ち着かざるを得ないのである。といってもまみつほど辛抱強くなく、もって3日〜4日といったところか。過剰な男性ホルモンが原因でヒゲやすね毛、アンダーヘアなどは人一倍濃いのだが、冷静にそこに労力使うくらいなら上で頑張れやという話だ。雨の中の練習は、ヘアダメージが深刻で、こういうときの石原はこの上なくテンションが低い。前期ではフォワードをやっており、フォワードというのはやたらと頭を群衆に突っ込むプレーが多い。別れでのモールやゴール前アタックの練習中、時折ヘッキャを脱いでは裏についてる人肌との摩擦によりサヨナラした脱毛達を絶望した顔で見つめている石原をいったい何人の部員が目にしただろうか。モールに入る瞬間、このまま入ったら髪が...、そんなためらいのせいでモールに入る絶妙なタイミングを逃し、チームに迷惑をかけることも多々あったのである。そんなとき転がりこんできて話が、バックス転向、である。上からそれを命じられたとき、石原の表情が一瞬緩んだのは隠しきれない事実である。しかしバックス転向から二ヶ月、先程挙げた悲劇的な状況は見られなくなったが頭皮環境に変化はない。こんなにも愛してるのにどうして生えてこないのか。もはやいっぺん髪の毛とミーティングを催したいくらいだ。抜けてく髪にはせめて一言言って欲しいのである。今までお世話になりましたとか、もうここじゃやっていけません、失礼しますとか。それなら雇い主も納得、はしないがやむを得んと思うのである。成長仕切った髪にかんしては、お疲れ様とでもいってみるが、新生毛のまま抜けてくやつに関しては、じゃなんでそもそもうちにきたの?と問いたいくらいだ。とまあここまで髪に神経質になりながらラグビーをやる人間も珍種ではあるだろうが、ラグビーは愛している。これほど人に当たれる機会など日常生活には存在しないであろう。しかしラグビーに男性ホルモンは不可欠であり、そことどう付き合っていくかというのが、石原の課題となっていくのだろう。
ということで今回は私石原がお送りしました。
さて次回は、最近個人的にめちゃかわいいなーと思っており、プライベートでも私と親交が大変深い二年生スタッフのみこしちえりさんのお話に耳を傾けたいと思います、それでは次回もお楽しみに
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